白瀧酒造は6月2日、日本酒体験施設「白瀧酒造直売店 shop & taproom Flow(以下、Flow)」を自社の酒蔵敷地内(新潟県南魚沼郡)にオープンする。

  • 白瀧酒造直売店 shop & taproom Flow

伝統と革新が息づく白瀧酒造の新たな挑戦

同社の創業は1855年。湊屋藤助が、東京と日本海を結ぶ山脈の麓に位置する越後湯沢の地で清冽な地下水に恵まれた環境のもと、旅人や商人をもてなす目的で酒造りを始めたことが起源である。それから170年。伝統を守りながらも、代表銘柄「上善如水」に象徴されるように、時代の感性を取り入れた革新的な酒造りを続けてきた。今回、新たにオープンする施設では、その視点を活かし、日本酒文化への新たな入口として、訪問者に自由と多様性に満ちた新しいSAKE体験を提供する。

越後湯沢から世界へSAKE文化を発信

2024年、訪日観光客数は過去最高の3,686万人を記録し、インバウンド消費は8.1兆円を突破した。なかでも、文化やストーリー性のある体験を重視する旅行者が増加し、旅先での「深く心に残る体験」へのニーズが高まっている。また、同社の酒蔵見学に訪れるインバウンド旅行者の傾向として、国際唎酒師(Sommelier of Sake)などの、SAKEに特化した認定資格保持者が増えており、日本酒に対する深い知識と関心を持つ層が今後もターゲット層として期待される。Flowは、こうした層の期待に応える体験を通じて、越後湯沢から世界へ日本酒文化の新たな魅力を発信する拠点となる。

「Flow」に込められた願い

同社の代表銘柄「上善如水」の精神"Go with the Flow"を現代の感性で受け継ぎ、日本酒と自然、人と文化が繋がる新たな場を構想した。施設名の「Flow」は、「循環・流れ・流動」を意味する。自然資源の「循環」に育まれた日本酒を通じて、世界中から行き交う人々の「合流」、感性やアイデアの「交流」を生み、さまざまな「Flow(流れ)」が交わり合う空間で、新しいSAKEカルチャーを醸していく。そんな願いが込められている。

自然と文化が交差するロケーション

  • 白瀧酒造

同施設は、JR越後湯沢駅から徒歩5分、白瀧酒造の酒蔵敷地内に位置する。山々に囲まれた清らかな空気の中で、湯沢温泉街の賑わいと自然の静けさが心地よく調和するロケーション。市部に滞在中のインバウンド旅行者や日帰り観光客にもアクセスしやすく、日本の原風景に触れられる文化体験の場としてアプローチしていく。

コンテンツ:味わう・創る・感じる

施設内には、ショップ、テイスティングカウンター、体験型ラウンジを備え、日本酒の奥深さと楽しさを五感で体感できる場を提供する。

  • 味わう・創る・感じる

1.五感で味わうテイスティング体験

同社の全銘柄が揃うショップと、メダルサーバーで楽しめるタップルームを併設。季節限定酒や、ここでしか味わえない限定商品、酒粕を使ったアイスクリームや地元焙煎のコーヒーなど、多彩な味わいを楽しめる。また、酒造りに使われる仕込み水を、ドリンクやコーヒーにも使用。自然が育んだ恵みを、味わいを通して感じることができる。

2.自分だけの日本酒を創るブレンディング体験

世界中から訪れる旅人のためにデザインされた体験型SAKEラボを開設。酒造りの工程や、味わいの違いが生み出される背景を楽しく学びながら、複数のテイストを組み合わせて、好みやシーンにぴったりのシグネチャーSAKEをブレンドする、バイリンガル対応のワークショップを提供する(2025年夏頃開始予定)。

3.酒蔵の物語を感じる没入型デジタル映像体験

2026年冬頃には、映像と音響に包まれながら、湯沢の四季や酒造りの様子を感じることができる、没入型デジタル映像体験の導入も予定している。天候や段差に左右されず、幅広い世代の人々が安全・快適に楽しめる新感覚の蔵見学スタイルで、ストーリー性ある日本酒造りの世界観を深く体感できる。

サステナビリティ「ミズとともにその先へ」

施設内では、実際の酒造りに使用している仕込み水を無料で気軽に汲めるオアシスステーションを設置。世界20万カ所以上の給水スポットを紹介する「mymizu」アプリに登録し、環境への意識を高める入り口として、コラボボトルの販売も予定している。マイボトルの利用を推奨することで、自然との調和を大切にしたサステナブルなライフスタイルを提案する。「ミズとともにその先へ」という同社の理念のもと、小さな選択が未来へつながる契機となることを目指す。

  • 仕込み水が汲めるオアシスステーション