フジテレビの動画配信サービス・FODのオリジナルドラマ『被写界深度』(20日から毎週金曜20:00最新話配信)。明るく人気者だが、どこか虚しさを抱えながら日々を過ごす早川秀一郎(宇佐卓真)と、クールで無愛想だが大好きなカメラに一途に向き合う紺野遼平(平野宏周)という正反対の2人が、少年から大人へと変わる狭間で揺れ動く、切なくも愛おしいモラトリアム・ラブ・ストーリーだ。

今作でW主演を務める宇佐と平野に、撮影の舞台裏や今作に懸ける思い、見どころなどを聞いた――。

  • 平野宏周(左)と宇佐卓真 撮影:蔦野裕

    平野宏周(左)と宇佐卓真 撮影:蔦野裕

初めて心から思った「この役は自分がやりたい!」

――今作の出演が決まった時のご感想から教えてください。

宇佐:このお話を受けてから原作を読み始めたのですが、「この役は自分がやりたい!」と心から思うことは初めてでした。なので、決定の連絡をもらった時は本当にうれしかったです。

――なぜこの役をやりたいと強く思ったのですか?

宇佐:僕が演じるときに普段から心がけているのが、自分が演じるキャラクターを見た人がどう思うのか、そのキャラクターと同じ境遇だったり同じ悩みを持っている人が一歩前向きになれるのか、ということなんです。今回は、その思いが一層強くなる役でした。

――平野さんは出演が決定して、いかがでしたか?

平野:原作を読ませていただいてすごく素敵な作品で、脚本も面白くて。そんな作品に出られるといううれしい気持ちと、不安な気持ちの両方がありましたね。

――プレッシャーにも感じたんですね。

平野:紺野遼平というのは、自分が今までやってきた役の中で、あまり触れてこなかったキャラクターでもあったので、「僕にできるのかな」という不安も正直ありました。

――どういった部分が今までとは違うのですか?

平野:熱血キャラとか会社の後輩とかが多かったのですが、原作を読んだ時、シンプルに「紺野遼平ってカッコいいな」と思ったんです。「自分に紺野のようなカッコいい役ができるかな?」という不安もあって…(笑)、いろんな感情が入り混ざっていました。

「今の自分って素なのかな?」と感じる気持ちに共感

――実際に演じられて、演じる役柄に共感されたところはありますか?

宇佐:早川くんは「ニコニコ王子」と呼ばれるくらい、いろんな人にいい顔をするのが普通になっちゃっているんですけど、僕も仕事でご一緒する相手によっては、ちょっと雰囲気を合わせたり、距離感を意識したりすることがあるんです。その人が居心地よく過ごせるようにと思ってそうしているんですけど、そうすると自分でも「今の自分って素なのかな?」って分からなくなる瞬間が結構あるんです。早川くんのように、本当の自分を抑え込んでしまうというわけではないのですが、そういうつらさにはすごく共感できるところがあったので、気持ちを重ねながら演じていました。

――そうした気づかいを自然としている人は、実は多いのではないかと思います。

宇佐:だからこそ、自分の心にウソをつかず何でも言える紺野遼平という男が、役を通しても宇佐卓真としても、すごいなと思って。早川くんが紺野に抱く嫉妬に近いものを感じました。

――平野さんは、いかがですか?

平野:誰とでも自然体で素を出せるという紺野の性格は、僕も普段、誰かといてすごく気を遣うタイプではないので、共感できますね。紺ちゃんは「自分が」という部分もあると思っていて、そういうところも、ちょっと似ているのかなと思います(笑)

――今回は同性同士の恋愛がテーマの作品ですが、異性を相手にする作品と演じ方に違いはありますか?

宇佐:恋愛という一つのものなので、演じる時に変えていることは何もないです。

平野:僕もそうですね。そういうことよりも、早川くんをどう悩ませるかとか、振り回すかということへのベクトルのほうが大きかったです。