サイボウズは4月15日、名古屋市内で、ノーコード開発ツール「kintone」の公式ユーザーイベント「kintone hive 2025 nagoya」を開催した。同イベントには、約400名のkintoneユーザーが来場した。

  • 「kintone hive 2025 nagoya」の会場

    「kintone hive 2025 nagoya」の会場

kintone hiveは、kintoneの活用アイデアをユーザー同士で共有するライブイベントだ。日頃の業務でkintoneを使いこなしているユーザーが事例を発表し、業務改善につながるkintoneの活用ノウハウを参加者で共有する。今後は、5月に仙台と広島、6月には福岡、7月には大阪と東京での開催が予定されている。

「ざつだんブース」や登壇者への質問コーナーも

「kintone hive 2025 nagoya」では、6つのkintoneの活用事例が発表されたほか、会場内には、サイボウズ社員にかんたんな相談ができる「ざつだんブース」も設けられた。

  • 「kintone hive 2025 nagoya」のざつだんブース

    「kintone hive 2025 nagoya」のざつだんブース

また、事例発表後には、登壇者に質問ができる時間も設定された。

  • 講演終了後に、登壇者が参加者からの質問に回答

    講演終了後に、登壇者が参加者からの質問に回答

タスクの可視化で楽しさを実感

「kintone hive 2025 nagoya」で、最初に事例を発表したのは、ワクワク代表取締役の金子英雄氏だ。同社は中古自動車小売業を営んでおり、創業8年目の企業で、従業員は25名ほど。

同社はkintoneで車両情報や商談の履歴を管理しているが、kintoneの導入により目標を共有し合う文化も醸成され、「聞く」「聞かれる」が減り、生産性が向上したという。

  • ワクワク代表取締役の金子英雄氏

    ワクワク代表取締役の金子英雄氏

同社がkintoneを導入した理由について、金子氏は「私が『DXをやっています』と言いたかったからです」と、冗談まじりに語った。

金子氏が最初に着手したことは、自分のタスクをkintoneで可視化することだった。それによって周りの社員もkintoneに興味を持ち、各自がkintoneでアプリを作り始め、その楽しさを体感したという。

情報の出口をkintoneにして認識のズレを解消

そして、同社が次に目指したのは、属人化の解消で、営業にまつわるデータの認識のズレをなくすことだった。

「業績を伸ばそうといいながらも、それぞれ営業にまつわるデータの認識が違っていました。しかも、確認する場所が多いため、データを調べるのに時間もかかっていました。そこで、情報の出口をkintoneにしようと思いました」(金子氏)

金子氏は、kintoneにはデータを入力せず、データを見るための場所にすることにしたのだ。

データ入力は、他のアプリからデータをインポートすることで対応しようとしたが、ツールによってデータ形式が違うという課題に直面。そこで、外部のサポート会社と契約し、アドバイスをもらいながら、営業のデータをkintoneに統合したという。これによって、情報の出口をkintoneにするという流れがだんだん形になっていったという。

  • 情報の出口をkintoneに

    情報の出口をkintoneに

また、データを参照する際、見るべきアプリが多すぎるという課題があったが、メインアプリに情報を集めることで解決したという。さらに、レコード内で必要なデータを表し、タグを設けることで遷移をラクにする工夫も行った。

  • kintoneで業務改革

    kintoneで業務改革

kintoneで行う業務を拡大

その後、同社は他の業務もkintoneで行うようにした。

具体的には、車の査定やオークション業務の振り返り、個人の目標設計からそのプロセスの管理、口コミの社内展開もkintoneで行った。

  • 目標設計からプロセスの管理もkintoneで実施

    目標設計からプロセスの管理もkintoneで実施

「この過程で、機能はシンプルにした方が習慣になると学びました」と、金子氏はkintoneで得たノウハウを語った。

同社ではkintone通じて課題を見つけ、そこから何かを変えることで新たな活動につながっており、そのPDCAを回すことで成長しているという。

そして2025年度は、電子契約のプラグインの導入、LINEや在庫管理のAPI連携を実施する予定だという。

壁を越えていくカギは「ワクワク」

当初は、kintoneの導入に前向きでない社員もいただろう。「社員の皆さんがkintoneを活用し始めたタイミングはいつだったのか」という司会者の質問に対し、金子氏は次のように答えた。

「私と同じように勘違いして、自分がアプリ開発の天才だと思う人が何人か出たことがきっかけだと思います」

最後に金子氏は、今後kintoneを活用する人に向けたアドバイスとして、「推進する人がワクワクすることが重要」と語って、講演を終えた。

「いろいろな壁があると思いますが、それらはなくならないでしょう。なぜなら、壁は次から次へと出て来るからです。その壁を解決していく過程で、先導している立場のみなさんがワクワクしてください。みなさんがワクワクしたら、必ず共感して仲間が一人一人増えていくと、私は本気で思っています。その結果、課題の解決に進んでいくと思います」(金子氏)

  • kintoneでワクワクしようと金子氏はアドバイス

    「kintoneでワクワクしよう」と金子氏はアドバイス